Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

各々の不在達へ

何がそんなにかなしいのか
わからない自分はつめたいな
そう思って落ち込んでたんだ
ちょうど十一年になるんだな
 
今より輪をかけて小生意気で
ひとの心がわかると思い込んで
だから余計劣等感があってね
つらそうな文面にただ戸惑って
 
"いなくなって気付けたことは
確かにあるけど きっとそれは
なくす前に気付けたはずなんだ
この想いと共に僕は生きるから"
 
いないから失うことはない
失わないから知ることもない
そんなこともあるのだと知り
私の奥底に沈むひんやりの闇
 
いつしか十一年が過ぎた
別の命の終わりを知ってから
同じ文章を読み返してみたら
涙が止まらなくて驚いたんだ
 
あの頃も今も病院通いだもの
ひどかった時よりはマシでも
よくなった気はしなかったよ
でも前より少し人間ぽいかも
 
かなしいわけが理解できた
そういうのとは違うみたいだ
同じかなしみは知らないから
わかったような気がするのは
 
ひとの命がかなしみと暮らす
その一日一日の明滅だと思う
さみしさも怒りも重ねて笑う
いたわりとやさしさだと思う