Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

しろくろ境界線

子どもの頃には
なかったGoogle Wikipedia
テレビとラジオはあったな
出て来るひとは知っていた
 
知っているとは名ばかりで
出身校がどこで奥さんが誰で
そんなことは何も知らなくて
それで済んでいたんだよね
 
そのことで物足りないだの
わからなくてつまらないだの
感じていた記憶もないんだよ
夢中と玄人の素顔は別のもの
 
昔は今より芸があったから
私生活を切り売りしないのさ
野次馬根性だネット社会だ
やだねえ今の世の中ってのは
 
その皮肉も一理あるとは思う
思いつつ考えてふと気付く
同じ人間だと思って見てる?
今と昔はある意味同じで違う
 
アイドルはトイレに行かない
…は極端でもそれに類する話
それはそもそも人間じゃない
今は引きずり下ろし世間並み
 
誰に頼まれたわけでもない
自分が望んで世に出たんだし
目立つことに文句は言えない
実像も虚像も濁るひとり歩き
 
親しみってやつも厄介だよな
なまじひとだなんて思うから
心配してよろこんで迷うんだ
さみしいから知りたかないや