Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

そばにいる孤独

ここにいない誰かさんのことを
ちっとも思い出さないで過ごせると
ひとりぼっちでも案外怖くないかも
だって今がさみしいと気付かないもの
 
家族全員揃って食卓を囲んだって
渋滞を抜けて会議に間に合ったって
いつの間にか孤独をしょって涙目
それは何かが足りないからだよね
 
そばにいるひとが大事じゃないとか
十分恵まれているくせに贅沢だとか
そんなひと色じゃ到底語れないんだ
この世はないものねだりで回るのさ
 
覗き込んだ空洞に吹く風はひんやり
埋めようと何かこしらえては放り出し
違うよ、あれでもないこれでもない
かきむしり地団駄踏んで半泣き
 
その誰かさんのそばにいたひとが
満たされていたとも限らないな
いないさみしさにも気付けないから
空洞を掘ってでもさみしがるんだ
 
いいかい、今求めてやまぬものが
手に入っても狂おしい夜はあるんだ
むしろ自分のものにしてからの方が
疑ったり責めたりみっともないんだ
 
離れていればよくわからないことは
買いかぶって付け足すものだから
たまにはひとりになって離れなきゃ
額縁のジグソーパズルは褪せるのさ
 
誰といたってひとりでにさみしい
くわばら唱え触らぬ神に祟りなし
黙っておせんべ食べる音でもいい
ひとの気配と孤独を抱くがいい