Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

おせっかいな星々

 

色とりどりの紙と白いこよりの束
昼下がりの幼稚園はまだちょっぴり眠い瞳

「はあい、静かに、静かに」
人差し指を唇にあて、左手を軽く挙げる
「みんな、七夕って知ってるかなぁ?」
しってる、しらなぁい、ええー、なんだっけ?
「お空には、おりひめ様と、ひこぼし様がいて
天の川の、こっちと向こうに離れていますが」
かわがあるの?スゲー。なんではなれてるの?
「年に一度、七月七日に会えることになっています」
そのひだけ?やだぁ。サンタさんみたいなの?
「それでね、その日に七夕のお祭りがあって」
やっぱクリスマスみたい。だよねぇ。まねっこ!
「おりひめ様にお願い事をすると、叶うそうです」
笑いだして怪しまれぬよう、神妙な顔をこしらえる

どの色の短冊がいい、どのペンがいいでひと騒ぎ
「たとえばね、大きくなったらなりたいものとか」
んーとね、おれウルトラマン!わたし、くじら!
「えっ、くじら?」

思い思いの願い事を握りしめて中庭へ
おぼつかない小さな手がこよりを笹の枝に結ぶ

せんせいは、おおきくなったらなにになるの?
「えっと…私はもうわりかし大きい、かな?」
ふうん、そうなんだ…で、なにになるの?
「…もっといいみんなの先生にならなきゃだねぇ」
ふうん、とつまらなそうな顔に慌てて
「お嫁さんなんかにも、なれると嬉しいかも」

折角恋人に逢える滅多とない日なのに
毎年ひとの願い事ばかりせっせと叶えていて
私達の日曜みたく喧嘩になったりしないのかな

ここにいる誰よりも子供じみた想像に肩をすくめ
黄色い帽子と水色のスモックを見送る