Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

だましだましだ

 

いつもの鎮痛剤を飲ませて
巻いてあった包帯を取って
濡らして軽く絞ったハンドタオルと
ウェットティッシュ三枚を
レンジでチンするナイロン袋
 
ウェットティッシュ一枚で
膝の周りをゆっくり拭いて
ナイロン袋に入れたまま
端切れでくるんだハンドタオルは
膝をあたためラベンダーに香る
膝の主は神妙にじっとしている
 
指に取っては琥珀色を塗りこむ
肌色のくちゃくちゃとした包帯
膝の皿をよけた巻き終わりに
白いテーピングテープのY字
 
母親が癌で転院を続けた果てに
自分がすっかり病院不信になり
医者にかかる気になれないらしい
痛いもつらいもすぐには言わない
 
生兵法は気休めに過ぎない
母よりむしろ私の気休めに過ぎない
父の仏頂面を背に私は合点がいく
それでもだいぶよくなったありがとう
 
ついでにアロマとうそぶいて
ハンドタオルを部屋干しして
端切れと包帯を洗って除菌
衛生兵にでもなったような気分
 
何かにつけておなかが痛いと騒ぎ
若かりし母を途方に暮れさせた昔
顔を見れば二言目には
へそ痛は治りましたか
からかうように言った母の母に
物申したい胸に流し込むコーヒー