Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

一行抹消

 

何度目かの「死ぬつもりだ」に
それなら俺も死ぬよと低く言い
いやそれには及ばんと困惑顔
ああ「いつかは」を忘れたよ
 
僕は真面目だのにまぜっかえすな
まぜっかえされたくないのなら
何故俺などに宣告しに来やがった
黙ってやっちまうがいいじゃないか
 
その、折り入って頼みがあってだ
なんだ
こういう時は何か書き残すらしいな
まあ大方そうだろうな
僕の国語の成績は2だ
ああそうだったな
不様なものは遺せん、頼むよ君
何?
 
いかにしてこの世に愛想が尽きたか
これからかいつまんで聞かせるから
それをまとめて僕にくれと言うのだった
 
お前、代書屋って噺は知ってるか
いいや。小説か何かか
…まあいい、聞いてやる話してみろ
手間かけて悪いな、恩に着るよ
 
ありていに言えば悲恋と不遇を
行きつ戻りつ脱線しつつ切々と
ここんとこははしょらせてもらうぞ
差し当たり本筋には関わらんだろ
 
うんと省くとばかにちんまりした話だ
なんだかどうも、恰好がつかないな
娑婆でロクすっぽ恰好つかねえのに
身を捨てて男前になりゃ世話はない
 
時にお前小腹が空いたな
大判焼きかポン菓子でもどうだ
こいつはおととい書いてやるよ
うつろに頷くしょぼくれた顔