Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

楽しいの補色

楽しいかそうでないか
わざわざ意識するのは
胸の奥底にある退屈さ
こいつのせいだろうな
 
好んで退屈しやしない
体が言うこときかない
頭が言うこときかない
諦めることも多々あり
 
そりゃ周りの人間だって
屈託なくはいられなくて
望まなくなったあれこれ
腫れ物も立つ瀬がないね
 
楽しむための手段を
あれこれ選べるひとと
同じではいられないよ
ふざけてやしないけど
 
暗い目をして爪を噛み
よくない結果に舌打ち
真剣にやってるっぽい?
そんなの日常茶飯事
 
そんなフリしなくても
基本つまんないものだろ
ストレスは御免こうむるよ
佃煮にするほどあるもの
 
体を壊した後の方が
お大事にって言うもんさ
悩んで笑えなくなったから
笑わせたくなるんだろうな
 
果てもなく欲しがるのは
一度なくしてしまったから
なくしたことがあったから
やさしくなりたかったんだ

ひらめきと学歴

私と私の母は大学出で
大黒柱の父は医療短大出
受験の頃なんかはそれで
険悪になったこともあって
 
やっぱり大学出は違う
出たか出ないかを問わず
言われるとヤな感じだろう
そんなこと言われても困る
 
持つもの持たざるもの
時期によるからねそんなの
努力の位置が違うだけかも
今がよければそれでいいよ
 
お膳立てされたお楽しみ
立場上のハンデとやりくり
元から条件に段差がある話
不公平センサーのイラつき
 
誰を誘ったか言わなけりゃ
無理出来たかもしれないな
なんだよもう十分じゃんか
つつかれひっこむ殻の中
 
自分には基本の装備でも
相手には自尊心の要かも
戦う気が萎えるって嫌悪も
知ってるはずだと思うけど
 
悔しいと思うんならやれよ
同じこと言われてやるの?
身の丈に合った謙虚と素直
張り合う場所は他にあるよ
 
無理すれば本気だなんてさ
お互いを試すのもうやめな
そいつは自分も責めるんだ
疑って幸せは見つかった?

ご機嫌フリートーク

そのひとそれぞれの現状を
細かく知っているかどうかと
物理的距離とは関係ないのかも
話さないひとは話さないもの
 
情報が日常的に入ってくる方に
親近感を持ちやすいものらしい
何を見てどう感じ何に悩み迷い
その積み重ねが自分なりの理解
 
ぶっちゃけるひとは少ないな
それが仕事じゃないと言えば
確かにそれまでのことだけどな
だんだん輪郭がぼやけるんだ
 
何を言ったら怒りそうか
何を気遣えばよろこばれるか
勘所が見えなくなった時は
黙っているしかなくなるものだ
 
力で役に立たないならせめて
元気が出そうなことを思い付け
一休さんよろしくポクポクで
考え続けてはいるんだけどね
 
材料と瞬発力が足りない
これも嘘くさいのかなと迷い
そしてまた今日もだんまり
言葉の無力に晒されつつ祈り
 
いくらかは編集するにせよ
自分事を話すのはむずかしいと
思い知らされるところもあるよ
誤解されるかも 嫌われるかも
 
辛抱強い制御で弱音を吐かない
自分を律してケアして気晴らし
見習いたいし愚痴でも聴きたい
信じて話しだす度胸もありたい

病めるワレモノ

冴えない眼鏡のおじさんは
世を忍ぶ仮の姿なのだ
誰もが目を輝かせ空に叫ぶのさ
鳥だ、飛行機だ、スーパーマン
 
一方その頃世界の片隅では
裏も表もくすんだデクノボーが
錠剤を2の4の6つ飲んで眠るのだ
留守番なら犬の方がうんとましさ
 
まともに生きてもいないのに
何か出来るとでも思うのかい
思い上がっていやしないかい?
鏡を見ろよ ねぼけ面の穀潰し
 
最初の頃、医者に釘をさされたよ
こういうひとは油断してると
ボランティアとか言い出しますよ
今は水没の街の病院勤務のひと
 
働いて無理していい気になって
頼りにされていると思い込んで
下駄脱いで裸足でオロオロして
経済も体調管理も最背面に見え
 
丈夫で五体満足なひとだけに
人助けの鍵が届くわけじゃない
でもイチかバチかのサイコロに
振り回される苦しみは選ぶまい
 
他のことだってそうなんだろ?
どうにかなる気がしたことも
三次元ではペナペナなんだよ
お前なんかつとまりっこないよ
 
健やかな幸せなんてものに
白旗を出して楽になるといい
何をしなくてももうおしまい
かばって形代にもなれない癖に

音漏れを聴く風

つらいのは君だけじゃない
世間のお説教には鬱屈ばかり
あなたに言われる筋合いないし
私のこと何も知らない癖に
 
雨になると聴いていたが
台風の風だけが残っていた
家で聴くと不安なその音は
体で浴びると心地よいのだ
 
津々浦々ベッカンコ
遠い地方都市のコンサート
ステージの上の笑顔と声と
どっとわく拍手を包む風の音
 
先日古い仲間の訃報が…
ポツポツと話されまた歌う
その朝偶然思い出す別の仲間
皆と離れて歌った若い風の歌
 
風はあのひとかもしれない
元気でやっているかい?
随分腕を上げたねえ前より
七色に晴れる前は暗い気持ち
 
つらいのは私だけじゃない
ひとにうるさく言われる前に
急に気付かされてぼんやり
さみしい層を磨いて届く光
 
この拍手のひとつひとつが
慰めかねる日々を歩いてきた
そのかなしみに寄り添う歌
それを歌うひとの胸にも涙
 
そのつらさを知っている
だからつながろうとする
恵まれた余り物は忘れる
欠けた心だけが共鳴を灯す

I’m good, thank you.

かっこよく負けて散るのと
泥臭い手で勝ち抜けるのと
さあどっちが楽なんだろ?
そりゃ綺麗に決めたいけど
 
負けたら負けたで凹むよね
あいつのせいと言い合って
くさして天を仰いでやけ酒
日々の生活に散りゆく誰彼
 
どちらともなくブーイング
観たがるのはアグレッシブ
柔道で言うなら教育的指導
絵にならない時差で決まる
 
ただ褒められたいだけなら
恰好つけ走ってカウンター
次やってもいいかどうかは
結果でしか決まらないから
 
最初に出る言葉は不本意
わかってやっている戦い
劇的なのもっとちょうだい
パッとしない僕らの人生に
 
ほっとけ ほっとけ
その場しのぎの快楽なんて
地味に見えてもフェアプレー
ファインセーブ 騒ぐ言い訳
 
遠くから俯瞰で観れば
責められるってこうだった
朝三暮四ってなんだっけな
順序が逆ならば足るか?
 
持ち上げられて落とされろ
きっと明日は いいトモロー
そうやって生きていくんだよ
図太く笑って続ける覚悟

堅物と迷い犬

落ちていた財布は交番へ
きっと困るだろうからね
基本の設定資料は真面目
悪く言うならカッコつけ
 
確かにおもしろくはない
責められるいわれもない
魚のすみかねるとも言い
疎まし清き川恋しき濁り
 
ある夜 疲れて帰ったら
家の前に何かいたんだ
茶色くてくっちゃくちゃ
割と大きいけむくじゃら
 
足が震えるへっぴり腰
お腹のあたりが浮き沈み
よかった生きてるみたい
でも どうすりゃいい?
 
傍らにしゃがんでいたら
薄く目を開けて笑った
犬笑わないはずだけどな
おすわりで尻尾を振った
 
こういう顔好きだけど
飼うってなると大変だよ
独身だし 散歩もあるし
ご近所もだし毛もつくし
 
そもそもこいつ野良かな
首輪はしてないみたいだ
でも首輪が抜けて逃げた
なんて話もたまに聴くな
 
なあお前 ご主人様は?
頭を擦り付け手を舐めた
いいやつだな いいのか?
返事は願いごとの熱転写