Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

残業組の水音

給湯室から光がもれていた
総務経理部はもう暗かった
黙って席を立った彼女が
一心不乱に洗うデカンタ
 
出来なくっても
帰れって言ってるだろ
そう決まったんだよ
僕は固定給だから残るよ
 
タイムカード押してきます
それで文句ないでしょう
止める間もなく消える
ドアをバンと閉めて戻る
 
いい加減にしろよ
君の勝手で決められても
後でこっちが困るだろ
課長が受けた仕事でしょ
 
ああもうじゃ僕がやるから
貸せよファイル なあ
もう 黙っててくれた方が
早く終わるじゃないですか
 
僕はこの後一旦家帰るから
うちの子 風呂入れなきゃ
……
おい聞いてんのか
 
無言の後パソコン終了の音
マグカップ二つと灰皿を
掴んでのしのしのしと
暗い方へ行く一文字の口元
 
煙草はまだ吸うんだよ
文句がてら追って行くと
腕まくりと涙をためた横顔
遠い記憶によぎる列車の窓