Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

われてもすゑに

 

ある日の暮れ方
ヒゲぼうぼうのおじさんが
通学路の隅っこに転がっていた
仰向けで薄目を開けて瞳に空
 
どうすればいいんだっけ
へっぴり腰で覗き込んで
まばたきをしたのでホッとして
さむくないの?ねえ
 
坊っちゃんは逃げないんですか
かみさまかなんかかもしれないから
マンガの読み過ぎですよそりゃ
くつくつ笑って目尻に涙
 
ぐううと二人同時にハラが鳴る
これ、やすみのこにとどけるやつ
いらないとおもうよ、たべちゃおう
コッペパン半分こにいちごジャム
 
坊っちゃんは珍しい苗字ですね
その名前のひとをひとり知っていて
懐かしいです、女性ですけど
これ、おかあさんのみょうじだよ
 
離婚した母親と引っ越しの話
昔川に落ちた時、助けられた男子
知らんぷりしない男になりなさい
それがおかあさんのくちぐせとぽつり
 
ヒゲは目をまあるくする
…それ、たぶん私です
えっ、ほんと?
そうでしたか、坊っちゃんがあの
 
うちによってっていったんだけど
おじさん、げんきそうだったよ
またおあいできたらってそういってた
練習した台詞を聞いて惜しむ母親