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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

わんわんちりん

 

そろそろ色づき始めた桜の木の下
ずっしり重いクラリーノのカバンは
持ち替えるたび金具がカチャカチャ
卒業まで取っ手はもつのかな
 
模試の結果は案の定イマイチ
県外や私立なら行かなくていい
現役でダメなら浪人すればいい
親は甘いのか厳しいのかわからない
 
気付いたらずっと俯いていて
だしぬけに柴犬と目が合って
赤いリードの主は見なかったが
ヘッヘと舌を出し笑いかけてきた
 
ちょっと和んでこくりとお辞儀
私の人工革の紐靴はのっぺり
くるんと巻いた尻尾を見送り
ぼんやり桜並木を通り過ぎ
 
繋がれて散歩でも楽しそうでいいな
私はこれからどうなるんだろうな
未来なんてろくでもないんじゃないか
ペシミズムの背後できしむ車輪
ちりんちりん、ちりんちりんちりん
 
自転車の主のおばちゃんは
その擬音を口で言っているのだった
 
ちりんちりん、ちりんちりんちりーん
 
言いながらゆっくり近付いてきて
危ないよお、ごめんなさいねえ
 
呆気にとられカゴのネギを見送りつつ
おかしくなって唇を内側に丸め込む
ベルが壊れていると気付いたら
自分で言っちゃえばいいんだな
 
変だけどなんとかなる
現になんとかなっている