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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

点描の使命

代表印の金庫の鍵だけ下さい
そう言って家に車を乗り付けた先輩
有無を言わさぬ態度に母はきっとなり
朦朧としたままその押し問答を聴く耳
 
迷惑だけはかけたくないと願いながら
きっと誰かが困ると思い込んだのか
いたたまれなくなり挨拶に出かけたら
知らないひとが自分の席に座っていた
 
ああちょうどよかったこれどうします
今から集荷で送るところだったんです
同僚に示される口を開けた段ボール
寄付してガッツポーズされる筆記具
 
全部が全部そうだとは言わないけれど
先に使い古されたことを言っておくよ
特別なひとってのは一握りなんだよ
代わりなんていくらでもいるものだよ
 
運良くそれに気付かずに生きるひとは
とても幸せだけどなんだか危なっかしいな
私がいないと、俺じゃなくっちゃ
そう思わせるひとが支えてるってことさ
 
いなきゃいないでなんとでもなるんだけど
その苦味を噛み殺しつつ持ち場を守ること
それは下らないことなんかじゃないよ
でなきゃ大半の役割が必要ないんだろ
 
荷が重いひと 手持ち無沙汰のひと
居場所がないひと 部屋から出ないひと
ひっぱりだこ 昼の公園のブランコ
この世をもっともらしく彩る落ち葉と人々
 
所属や役割はひとそのものではない
役割を取っ払ってもそのひとは大事
だから多分何者でもない自分も大事
そっちをぶつぶつ唱えて生きていたい