Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

手袋と匙

 

「お前、なんで来ねえんだよ」
言われたイガグリの男子の席を
ふと見ると悪びれないきょとん顔
 
「なんて書いてあるか読んでみろ」
「『放課後、体育館裏』…でしょ」
「読めるだろ。なんで来なかった」
ひっちゃぶった方眼用紙は
赤ベルトがひったくりくしゃくしゃ
 
「でも、いつの放課後かわからない」
「その日に決まってんだろ」
「何があるかもわかんないし」
「それは来てからの話だろ」
「体育館って、どっちが裏なの」
「入るとこの逆っかわだろ、ってか、
ぐるっと回ってりゃそのうち会うだろ」
「時間もバクゼンとしてたから」
「それはココロガケ次第だろうが」
「お腹空いたし、帰っちゃった」
「っざっけんな」
 
丸めた紙を投げつけハッタと火花
学級委員としては止めなくちゃ
ああでも二人ともニガテだなあ
 
「わかんなかっただけだって」
「とりあえず謝れ」
「なんで?」
 
赤ベルトが殴る寸前に割って入り
話があるなら今すればいいじゃない
果たし合いなんて古いしヤバンすぎ
 
「黙れ女子、話してわかる相手か」
それに関しては私もそう思うけどさ
振り返るとイガグリは既に席を立ち
給食の列に並んでふわあとあくび