Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

多面体のSとN

趣味が合うひとがいいな
同じものを見て楽しめるひとがいいな
確かに理想としてはそうなのだろうが
実際今まで好きになったひとはどうか
 
合うところも合わないところもある
合わせてみたり、黙認したりする
それは何も恋愛に限ったことではなく
憧れの先輩でも友達でもそうだろう
 
相手の話をわかるようになりたくて
陰でせっせせっせと知識を仕入れ
自分の方が夢中になることもあって
興味を持てずじまいのこともあって
 
相容れないものに関心があるのに
何故このひとに惹かれるか、の前に
好きなひとが好きなものには対極に
浮かんでいるものもあるという仮定
 
自分に似ていて親しみを感じる面と
自分の中にはないからこその敬意と
ひとは両方に影響されて生きるもの
その多面体の磁力が引き合うもの
 
わからないとくだらないは別のもの
わたしはちっともわからないんだけど
このひとこういうのとっても詳しいのよ
僕は初耳だな、へええ、そうなの
 
何もかもを共有してもしなくてもいい
謎を楽しみながらそばにいてもいい
機嫌のいい理由を知らなくてもいい
なんだかおかずが一品多いし嬉しい
 
ある朝、違いに舌打ちしたくなったら
元々相手のどの面が磁石だったか
どうして合わなさだけ視界に入るのか
一度別の鏡に映して見てみることだ