Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

スイッチボード

 「課長、グループ保留、加地部長からです」

「ハイお電話代わりました、…え?あ、じゃ
とりあえず繋いで下さい」

総務でなく営業からの外線転送は珍しい
入力を続けつつ聞くともなしに聞いていると
「ヘロー、ヤシオ、スピーキン」
「…オー、ユニットシステム、イャー」

語学に才長け、製品対応まで出来る部署が
遠い東京営業所だけとは心許ない話だが
学生時代の海外放浪を買いかぶられるのか
本社のタライ回しはうちの課長に着地する

「アー、コンチュローゥパネル、トラボー」
「アーハン?イャー、アイシー」
「アイル、えーっと、コール、バック。そう」
「ワン、エイトファイブシックス、トゥー…」
「アーハン?あーはい、ええ、うん」
「オーケー、バァイ」

かねてよりぷるぷるの部署の数人が吹き出し
「アーハンかうんかどっちかにして下さいよ!」
「途中で疲れてきて。大体解ったけど」

営業行って来るわ、まあまた東京に話が行くと
思うから、これファックスしといてチョーダイ
文字より絵の方が多い裏紙のメモを置いて
ハイライトの箱と100円ライター片手にいそいそ

呆れるべきか敬うべきか
忙しいのは彼がものを頼みやすい風貌で
実際に仕事を断れないからなのだが
いなくなるとネジが外れ煙が出るなどとは
まだ誰も気付いていない呑気な午後のこと

「ファックス、届いておりますでしょうか」