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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

すっぱい薬味

 

腰掛けて息をつく駅前の噴水のそば
ペットボトルの水で鎮痛薬を飲む
足元をうろちょろする鳩の群れの一羽が
立ち止まってホロッ?とこっちを見る
 
次々とバスが入っては出てゆく
中には昔乗っていたバスもある
思い出すのはずしり肩に食い込む
ドーナツ屋でもらったトートバック
 
丸めた背中のまま靴紐を整え
顔を上げれば午後五時の鐘
 
女子高生が二人で話している
「掃除の時間に転んじゃって」
「えーそうなの?だいじょぶ?」
「うん。でもそん時はすっごく痛くって
通りがかった男子にたすけてえ!って
持ってたホウキの柄出して」
「男子ってラッキョウ?」
「んー。したらさあ、こええ、って
走って逃げてんの!どう思う?」
「で、ミカはどしたんだっけ?」
「自分で保健室行ったよ?…ねー、
ちょっとぉ、どう思うってば」
「え…怪我なくてよかった、とか?」
 
吹き出しそうになって咳込んだ
ラッキョウが好きなのか似ているのか
その男子にミカ嬢は熱烈おかんむりで
もういい、甘いもん食べたい付き合って
真っ赤な顔で駅前のドーナツ屋の方へ
 
しばらく見送ってから私も立ち上がる
噴水からシュワアアと新たな水しぶき
鳩の群れの半分ほどが飛び立ち
夕陽を見上げる球体のスパンコール