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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

幸橋

診察を終えて院外薬局で薬を三袋
おくすり手帳と領収書と白いナイロン袋
わざと乱暴に振り回して歩く
緑道公園の車道側の歩道は工事中
 
錆びついた橋の欄干の向こう
川面に木漏れ日が移ろい騒ぐ
少し顎を上げ気味に目を細める
芝居がかったセンチメンタル
 
それはそれとして橋を渡る
あてもなくぽくぽくと川沿いを歩く
蝉の鳴かなくなった木々の濃い緑
幹はそのうち色付く準備に忙しい
 
背後から話し声ときしむ音が近付き
追い越していくおばさん二人
自分を入れると三人 間に犬一匹
ひとりが自転車 ひとりが歩き
 
そうそうそうそれ、それなのよぉ
あー、困るわよねえ、ほんっと
手前から助走をつけて来たらしい話は
北へ向け一直線に盛り上がる気配だ
 
挟まれて歩く犬はとても足が短くて
おばさんを時々交互にちらと見上げ
あとは尻尾をふりふりトットコトットコ
ぴいんと張られている焦げ茶のリード
 
ちょっちょっちょ、まってくださいな
そんなにはやくはあるけませんってば
ごしゅじんさまったら、あしがながい
後ろから勝手にアテレコの脳内
 
えー宴もたけなわではございますが
ここではいっ、ほら、ウーワンワンだ
犬は相変わらず真面目に黙々トットコ
川で顔を出す亀と風に吹かれる薬袋