Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

錆びたブレーカー

豪邸別荘ベントレーは普段使い
毎晩料亭フルコース満漢全席
家庭円満子は優秀糟糠の妻一筋
友多く実直健康仕事はピカイチ
 
まあ、大抵そうはいかないよな
全部のカードは揃いやしないさ
どれかひとつに入れ込んでりゃ
別のどこかはお留守になるんだ
 
あれこれ積み重ねて踏んづけて
やっとこ届く高みもあるからね
後ろ指ひとつさされもしないで
一角の人物と仰がれる君子は稀
 
自分は真っ当で過ちは犯さない
道を踏み外した憶えなどない
ささやか慎まし賞罰なしの履歴
裁く免状になると思うのかい?
 
堂々言いたいことを言うために
自分も正しくなきゃいけない
身元を問われぬ寄せ集めの好奇
時代ってだけ 善悪は知らない
 
失望して 約束を果たせなくて
泣かせたその後悔と闇の分だけ
残った我を賭して苦しみを支え
途切れぬ葬列 惜しみ伝えられ
 
だんだんわからなくなるよ
抱えて死ぬ正しさもそこそこの
だから寛容にもなれない自分の
叶えたいことってなんだったの
 
どうせ他人事お互い様のお気の毒
損な性分 清きに魚は住みかねる
うっかり汚れりゃいい不可抗力
罪もひと任せにボロの裏地を繕う