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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

room op8習作

お盆を持って注文を取りに行くと
私より少し年下の女の子
制服で二人向かい合わせに座り
モバイルフォンに目を落としたまま騒ぎ
 
わからないでもないんだ
私もバイト中だけど返信が気になるから
でも離れて眺めると結構変な気持ち
今ひとりじゃないのにさみしい?
 
月が変わって
無口で絵が好きな店長は張り切って
店中の額を汗だくで掛け替えた
誰か気付いたひといるのかな
 
少し離れた隅っこのテーブルの
地味な紺色のスーツの男のひと
通路側に寄せた飲み終わりのカップ
綺麗な姿勢で手帳に何かを書き留める
 
何度か見かけたことがあるけれど
いつも変わらないもの静かなひと
口元に揃えた指をかざして手を止め
ふっと上げた視線と目が合い慌てて
 
あ、お下げします、お水のお代わりを…
は、どうも、じゃあ、お手数ですけど
三角巾のずれを確かめる製氷機の鏡
頭に本を載せたつもりで席に戻り
 
お待たせ致しました、どうぞ
ああどうも、すみません、あの…
はい、なんでしょう
あの絵の画家を知りたいんです
 
制服二人が俯いている右横の壁に
透き通った青い花の絵と西日
確か店長に聞いたのに出てこない
あの…訊いて参りますお待ち下さい
 
豆を挽く手を止め口をほころばせると
店長はオーダー票の裏にいそいそとメモ
私はふと、あのひとは二人に目をやり
それで絵を見たのだろうかと背伸び