Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

楽山園気付

 

最初の採用校がうんと田舎で
よく解らず辞退したらひどく叱られる
身内も立腹、ごにょごにょ頭を下げ
臨時採用で別の古い小学校に収まる

近くの果物屋に居候して通う日々
本採用とは格の違う扱いであるし
地元学閥 対 他県の教育学部
どの道長くは勤めまいと開き直る

それにつけても子どもはかわいい
全員足して割れば理想の生徒たち
センセ、きいてきのうタケイくんが
なー、センセ、もうかえろうやあ

運動会の練習で
なあセンセ、となりのクラスやこな
できんこはセンセがやすませるんよ
うちもタケイくんやすましたらかてる

そんなことをしてまで
先生は勝って欲しゅうない

そう言って帰した後の練習と当日
おめぇ、そこいごいたらおえんぞ
とれなんだらワイがとっちゃるけえの
優勝はせず、笑顔と汗が手を振る

後にタケイ君のお母さんが
そう言って頂けたって聞きましたと
果物屋を訪れ何度も何度もお辞儀

素行不良か最初に蹴ったが悪いか
翌年の採用試験には落っこち
退任、次の紹介で造船所入社
後日、転送されたどっさりの葉書

どうしてやめるんですか?
みんなさみしいといっています
またいつかもどってきてください

時に私を振り返りきょとんとする
健やかに若かりし母の一コマ