Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

音漏れを聴く風

つらいのは君だけじゃない
世間のお説教には鬱屈ばかり
あなたに言われる筋合いないし
私のこと何も知らない癖に
 
雨になると聴いていたが
台風の風だけが残っていた
家で聴くと不安なその音は
体で浴びると心地よいのだ
 
津々浦々ベッカンコ
遠い地方都市のコンサート
ステージの上の笑顔と声と
どっとわく拍手を包む風の音
 
先日古い仲間の訃報が…
ポツポツと話されまた歌う
その朝偶然思い出す別の仲間
皆と離れて歌った若い風の歌
 
風はあのひとかもしれない
元気でやっているかい?
随分腕を上げたねえ前より
七色に晴れる前は暗い気持ち
 
つらいのは私だけじゃない
ひとにうるさく言われる前に
急に気付かされてぼんやり
さみしい層を磨いて届く光
 
この拍手のひとつひとつが
慰めかねる日々を歩いてきた
そのかなしみに寄り添う歌
それを歌うひとの胸にも涙
 
そのつらさを知っている
だからつながろうとする
恵まれた余り物は忘れる
欠けた心だけが共鳴を灯す