Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

日常と領分

 

里帰りを済ませた後の連休で
女三人のランチはお初のカフェ
「もぉ、やだ、やだ」
「またなんかあった?」
「うん。つまんないことだけど」
「聞く聞く、とりあえず注文決めよ」
 
AかBかはたまたスペシャルか
ところで本日のデザートとは何か
正月太りだけど食べちゃおう
一通り迷って頼んで話を続ける
 
「実家の台所のふきんが黄ばんでて
キッチンハイターなんかも効かなくて
もういいやって捨てちゃったわけ」
赤のギンガムチェックの布張りの
そっと置かれたカトラリーの箱
「そしたら母が正月中不機嫌でさぁ」
「そりゃまあ、先に一言言った方が」
「茶わん蒸し漉すって言うんだもん」
 
小皿でパスタやドリアが行きかう
「私も完璧余所者だなぁとは思う」
「イライラしない?」
「ずっといる人間じゃないんだし」
「実家だってそんな自由じゃないよ」
「そういうもんなの?」
「変えないように、隠れてやるの」
 
汚れる場所は綺麗にしても気付かない
だから褒められもしないけど期待しない
ふうんと腑に落ちない顔をして
それはそうとここのババロア美味しいね
大体さ、田舎って友達と行くお店も…
「茶わん蒸しは、美味しくなかったの?」
 
きょとんとする彼女の実家は蒲田
ちょっとしんとして見つめるミントの葉