Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

懐かしい未来

傷ついたままの人間ってのは
笑いながら話してしまうんだ
しょんぼりしょげたままじゃ
やられちゃいそうだからさ
 
傷があるからいいですよね
褒めるつもりで言われたって
金継ぎの器を撫で回すようで
ぞっとしないこともあってね
 
おとなになって振り返れば
あの時あいつに無視されたとか
親に疎まれていたはずだとか
中には思い過ごしだってあるさ
 
ただその時はそれがほんとうで
こらえようとジタバタもがいて
防衛本能で飛んだ記憶もあって
たまに思い出しては眠れなくて
 
ひとが同じ目に遭うのはやだな
なんてことないんですよ、ほら
笑っちゃうでしょ僕馬鹿だから
でも羨ましいってそりゃないや
 
生きたことのない人生には
ひとの知らない恍惚と絶望が
少しでも順番が狂っていたなら
君に小言を言うこともなかった
 
くぐったことのあるピンチが
各々違うから生き延びるのさ
君がつまずいたばかりの困難は
僕には見飽きたいつものやつだ
 
平気なわけじゃないけれど
先に転んで笑う僕のひとりごと
やり直さなくたっていいんだよ
折り返したら僕と歩けるだろ?