Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

モノローグ

 

「じゃあ、いりません」
あらかじめ知っていたような声
「あんなに探してたのに?」
「私が欲しかったんじゃないんです」
「?」
「前から探しているひとを知っていて、
力になれないかと思いました」

彼女は私の従妹で、7年ぶりの電話
アンティーク小物を3年ずっと探してきた
よければ協力してくれないかとの封書
淡白だった彼女には珍しい頼みごと

あちこちで話のタネにしていたら
知人がもらった覚えがあると言い
ただ、どこへやったか忘れたらしい
是非探してくれと頼み込んだ報告に
彼女は不意に手を引っ込めた

つい物足りない気持ちになり
「だって、彼には必要ないのよ?」
「でも、あげた方があるんでしょう」
「そう言ってたけど」
「私も随分探しました。奇妙なものを
欲しがると笑われて、恥もかいて」
「だったら」
「あげた方だって、同じはずです」
「……」
「私は、ようくわかるつもりです。
だからいりません」

彼女は送った手付はどうか返さずに
伯母さまとお食事の足しにでも、と笑い
お手数おかけしましたと言って
誰にも話しかける気のない声音で

本当は、この世にないのかもなって
そう思っていたりもしたから

そうポツリと残して
発信音だけになった