めざめるわれ
ラジオ体操終わりに友達とセミとりをして
傾いた赤いひさしの掘っ建て小屋で
ポケットの小銭を合わせてたこ焼きを買って
輪ゴムを外して口にくわえ
うぐいす紙をむきながらつばを飲んで
すぐ折れるつまようじを二人で持って
両端からつつくと足元にオンブバッタ
わっ、傾けるなよ、バカ
お前こそ、青のりついてっかんな
風の抜ける田んぼの緑と入道雲
ムクゲの陰で立ち止まった犬を
首を傾げて待つサンダルと赤いリード
つまようじは口の端、目を細め店へ戻る
おばちゃん、ごちそうさん、これどうしよう?
ああいいよ、こっちへくれたらアレしとく
母さんはちょっと迷惑そうに眉を寄せて
今持って来てあげるから外で待ってもらって
買い食いもしちゃダメって言ったわよね
雑に食べてハズレでじゃあなと別れたら
これ見よがしに茶の間の真ん中で昼寝した
夢でサンダルがしゃがんでおしっこをしていた
…ましたるところ、こなったぁ…うちどめぇ
汗だくで目を開くと居間のラジオが鳴っていて
置き時計にピントが合ってうわっと飛び起きて
母さん、ラジオ体操!なんで起こさないの?
え、今朝行ったでしょ、今は夕方の六時よ
ドリルに八つ当たりのスペースシャトル筆箱