Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

メガホン

 

今からひどいことをたくさん言うから
そう断って悪友はあれこれ吐き捨てた
あいつが悪い、あいつが何もかもいけない
俺はこれっぽっちも悪くなんかない
でもあてつけに死んでやるつもりだ
今まで世話になったから今日はおごりだ

僕はウーロンハイだけど
こいつは下戸だからずっと烏龍茶で
見た目そっくりなだけにさかしまな荒れよう
へえー、そうなんだ、なるほどねえ
椅子の背を持って腰をぐいっとひねりながら
で、僕はなに?それを言いふらせばいいの?

悪友はぶすっと黙り込んだので
出来るだけのんきそうな声でゆっくり話す
いつどこで読んだかもう忘れたけどさ
高層マンションで母親と娘がケンカになって
娘が飛び降りてやるって騒いだら
母親がゴミ袋出してこれに入ってやれって
片付けるひとの身にもなんなさいって
僕はこの話がわりかし好きなんだよね

恨めしそうなふくれっ面に肩をすくめつつ
今までだってそうだし、これからだって
本当に苦しんでいるひとは救えないって
僕は何度でも思い知らされるんだと思うよ
なんで言ってくれなかったんだって思うけど
いざ言われたってこんなことしか言えない
その母親が死なせたかったと思うかい?

思わないよ、って言うか死なないよ
でも俺は悪くない
そうそう、悪いだなんて一言も言ってないよ
酒が呑めないってのもどうも気の毒だね
小刻みに震える指先は上着のポケットの中