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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

目が合う鏡

やだあ、センパイ
肩口を軽く叩いて二の腕に触れる
えっ、と振り返ると彼の方は見ていない
彼女のデスクの手鏡は彼女の顔を映す
 
週末の夜は手頃な居酒屋であぐらをかく
そういう席に彼女はいない
ひとしきり上司をデフォルメして盛り上がる
その後は頬杖で、女ってよくわからない
 
あの子、ほら受付の、彼氏いるんだよな?
そうらしいね、学生時代からの
お前詳しいな、今うまくいってないのか?
さあ、そこまで知らんよ
 
自惚れみたいに聞こえたらすまないけど
誘われてる気がして落ち着かないんだ
へえ、それらしいことでも言われたの?
いや、そうあからさまでもないんだが
 
女ってただの気まぐれで構うのか
単に気を持たせるのが娯楽なのか謎だよ
余力を残さず相手に注いでりゃいいのにさ
まあ、お前もそこまで怒ることないだろ
 
サザエを爪楊枝でずるりと引っ張り出して
仮に誘われてるとしたって知ったことか
そんな不義理な女なんか願い下げだって
そう思うならいなしておけばいいんだから
 
それはまあ、言われてみればそうだけど…
正論はつまらんだろ?不仲を願う心なら
相手のふしだらをどうこう言えやしないよ
どうでも横取りすればいいじゃないか
 
相手がその気じゃないんなら俺は別に…
そんならまだ見ぬ運命の伴侶とやらを
脇目もふらずに大事に抱いてりゃいい
鈍感に純情ぶってんのはお前の方だろ
 
お前も今日は呑みすぎだよ、と呆れて黙り
俺があわよくばと思ってるだけだってのか?
サザエの苦いところとイカリングを放り込み
上の空で噛んでウーロンハイで流し込んだ