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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

復一杯

 

門灯を点けたまま午前二時を過ぎ
先に休もうと乳液をぺちぺちした時
玄関のノブががちゃがちゃ音を立て
うぐぅ、というようなくぐもった声
 
「あなた?帰ったの?」
「たあいまぁ、おぅ、けえったろぉ」
靴紐をほどきかけ、途中でぐったり
踏まれた蛙を思い出すあがりかまち
 
こらっ、まだ靴脱げてないから待って
んもう、呑む時に限っていいの履いて…
くどくど言いながら慎重に靴を脱がせ
風邪引くからそこで寝ちゃダメ、起きて
 
「師匠、水を一杯いたらきたいれす」
「何が師匠よ…ハイ、自分で飲める?」
「イヤかたじけのうごじゃる」
ごくごくと旨そうに飲むと急に青ざめる
 
そこからうげえぐふっと小一時間えずく
「らーいじょーぶ、らいじょ…ヴウッ」
小走りで取って来る風呂場の洗面器
新聞紙を重ねて入れて片膝で待機
 
吐いたり吐かなかったりで
しばし背中をさすってやっと落ち着いて
「今日は結局部長の奢りで儲けたよ」
「あら、来週忘れずにお礼しないと」
 
ほうじ茶を淹れ、ふと気付いてきょろきょろ
「…ね、あなたコート着てなかった?」
「ん?あっ、こないだ買った薄手のな…」
「あらー、今度はあれなくしちゃったの?」
 
大抵お酒は行って来いでトントンなのよ
そう慰めつつ、もし出て来なかったら?に
給料日まで何日あると思ってるの
寒かったら下着重ねなさい、とぴしゃり