Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

迷子と道案内

振り返ったそのちっちゃい子は
泣いていたらしかった
まずい時に声をかけちまったな
ひと違いだと誤魔化すか迷った
 
なあに?
っと…今大丈夫?訊いてもいい?
誘拐犯と間違われないように
努めて聞こえよがしにハキハキ
 
うん、いいよ
迷子になっちゃったんだけど
おもちゃ屋さん探してるんだよ
ふうん、おとななのにヘンなの
 
う、うん、欲しいのがあってさ
多分、この近くだと思うんだ
んーと、みっちゃんちかなあ
みっちゃんち…お店の名前は?
 
わかんない、みっちゃんち
連れてってもらってもいい?
あ、お母さんに言う方がいい?
おかあさんなんてしらない
 
口を結んでリボンをいじると
小鼻をきゅっと縮めそむける顔
余計なこと言っちまったのかも
でもな、下手に心配かけるのも
 
ああもう女子はめんどくさい
俺が泣かしてるみたいだし…
ありがと助かった、もういい
なにいってんだかわかんない
 
おとなってすぐもういいって
なんでそういうの?なんで?
溢れだす三秒前、途方に暮れ
差し出すかやめるか震える両手