Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

怪訝な後味

私の生家はベニヤの平屋
ばかにだだっぴろい庭
松ぼっくりと赤紫の木蓮の花
 
すぐに錆が浮く門の外で
腰をおろし足を投げ出して
外の通りを眺めていた
確か舗装される前だった
 
随分年上の小学生の男子が
腰を浮かせ自転車を漕ぎながら
団地の入口から帰って来る
その車輪は道の反対側に沿う
 
ぼんやりそっちを見ていたら
急にこちらへ切られるハンドル
ひょろひょろの私の脛をそいつは
ぐにっと轢いて知らん顔で逃げる
 
その後は断片 聞いた話では
火が点いたように泣いたそうな
母は飛び出し烈火韋駄天のごと
追い詰めるどんつきの田んぼ
したたか張り飛ばし駆け戻ると
私はおいおい泣きながら
立って家の方へ歩いたそうな
 
その後我が家は引っ越した
母は思い出すたびに怒っては
子どもは骨が出来てないから
あれで済んだようなもんだけど
…あれから何年かしてあの子
交通事故で死んだらしいよ
 
バチだバチと肩をすくめつつ
何か飲む?と私は席を立つ