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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

閑話休題

 

「今年も『創造』で行こう」
「は、はあ…、去年と同じということで」
「こういうテーマは念には念。違うかね」
「さようでございますね」
「文言だけパパッと変えてもらってA4で」
 
大喜利かっ、を飲み込みつつ席へ戻る
各部署に配布する、社長の新年の挨拶
お題は社長提示、私がデッチ上げる思惑
 
席で鳴っている外線
「人事部ですけど、社内報の原稿は…」
「今確認取れましたので、〆切までには」
去年と違うこと書かなきゃいけないのか
去年で全部出しきらなきゃよかったかな
 
裏紙を切ったメモにものづくり、と書く
ハイライトの青と係長がラックから覗いて
「新年互礼会の資料どうなってる?」
「報告書待ちが二件…挨拶もご指示が」
「挨拶は頭で考えながら、先に催促」
 
営業に内線かけつつ、多角的に、と書く
「報告書の進捗状況はいかがでしょうか」
「そりゃそうと、会社暦とグループ一覧は?」
「あ、えー、そちらもただいま確認作業を」
「客に配るんだからさ、そっちを先にしろよ」
 
常にお客様の立場で、と書いて内線
横の後輩の会社暦FAXチェックを急かし
「グループ一覧、変更ございませんか」
「字が小さくて、これじゃ読めんよ君」
「A3二枚に拡大してお持ちしましょうか」
 
最近滅法よく詰まる古いコピー機
前扉をぱかんと開き緑のレバーを引き
取り出して丸めたくちゃくちゃの紙
トナーで黒い手、今度は用紙切れ
給湯室で石鹸、在庫補充に倉庫へ
 
戻ると総務がホッとした顔をして
「ああ、あの、社長にお客様です」
「やあやあ、今年もお世話になりまして」
珈琲ミルク砂糖カップソーサー6組応接室へ
 
夜勤のラインのうなる音を背に聴きつつ
自販機のコーンスープを袖に挟みつつ
今日も何一つ出来上がらない白い息