Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

カンタンなお仕事

誰にでも出来るカンタンな仕事が
僕はどうして続かないんだろうか
これが出来なかったということは
きっと何も出来ないということだ
 
そういう悲観主義はよくないと笑う
気休めのさざめきを遠くに聴く
私は黙って馬酔木の花を眺めつつ
福祉番組で観たひとを思い出す
 
その女性はお弁当屋に勤めて
ポテトサラダを詰めるのが得意で
ただ「焼きジャケの皮を上に」で
どうしても毎回間違えて叱られて
 
カメラがスタジオに戻ってくると
赤面して立ち、皆さんにこれをと
手作りの編みぐるみを配る笑顔
すごいね、これ売れそうだけど…
 
焼きジャケの皮は揃えられても
ポテトサラダははみ出るかも
編みぐるみは私には作れないよ
それで、どっちが「使えるひと」?
 
そのひとだけにしか出来ないことは
そんなにないのかもしれないが
誰にでも出来る仕事ってあるのかな
何も出来ないひとっているのかな
 
似たようなものとの価値の違いは
技術がより高いか人気があるか
あるいは義侠心を偽善ごとそそるか
売り物にはレッテルが必要なのか
 
元気で明るくカンと要領がいいことが
カンタンの場でも重宝されがちだから
そんな言葉も現実を楽にはしないな
むつり黙ったままコーヒーが冷めた