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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

過去からのピース

ここ、十年ぶりくらいかな
懐かしそうに窓の外を眺める微笑み
…ふうん、俺と知り合う前だよな
女同士で来る場所か?とは言わない
 
自分ひとりならこんな小洒落た店は
正直言って気疲れするし見合わない
さすがね、こんな店も知ってるんだ
褒められたくて選んだのかもしれない
 
そりゃあなたの知らないこともあるわ
なんでもない風に食前酒を口に運び
評判だけあって確かに味は上品かな
こう勿体つけて出すこともなかろうに
 
ここね、上の展望台も綺麗なのよ
多分ひとも少ないし後で行かない?
そうかい、さぞ楽しかったんだろうよ
俺は行かない、とは言わない
 
確かに綺麗な夜景を見下ろしつつ
ぼんやり当たりをつける家の明かり
俺にだって今より楽しい時間はある
ポケットで折るどこかの店の爪楊枝
 
さっきから何ふくれっ面してるの?
こういう顔なんだからしょうがない
たまにはこういうのもいいでしょ?
ああ、ひとりじゃまあ来ねえし
 
肩をすくめてはすかいのベンチへ
その背中を突っ立って見ながら
だめになったからこうなったわけで
なに麗しき想い出にしてやがんだ
 
腹が立つうちは惚れたもん負けか
負けで結構、冷たい壁にもたれて
欲しいだけ疑いを繰り広げては
かすかな高まりを振り払い滲む目