Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

いうだけさん

口ばっかりじゃねえ…、の声を
うつらうつらに聴く洗面器の水面
うまく動く体で、いつでも着々と
せわしなく何かをこなすひとびと
 
そう、ひとのことはひとのこと
それぞれ入れない部屋はあるもの
自分の出来ないことを出来るひと
自分の出来ることを出来ないひと
 
どっちかがえらくて立派で
どっちかが下らないと鼻で嗤って
誰も訪ねて行けないタワーの上
磨き上げた鏡は青く澄み切って
 
あれもこれも手放せないまま
ある日ポキンと折れたタワーが
足元にとっ散らかってキラキラ
まんざらでもない眺めの明け方
 
口ばっかりで何もしないやつから
小憎らしい言葉を取り上げたら
何か変わるかな 気が済むかな
能力のコレクションは楽しいか
 
奪って蹴り倒したら気が済んだ
誰かのなけなしのマッチだった
包み紙を解かない言葉の山は
高い部屋の隅にほっぽらかされた
 
できっこないとかできるとか
段ボールからつまみ出して言うな
要らないけど転がっているものは
全てと引き換えにはならないんだ
 
あれやこれやと考えあぐねても
実際を知らないのはお互い様だよ
来られるものなら来てごらんよ
ポカンと脳みそが浮かぶ洗面所