Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

一対一症候群

ひとりでも多くのひとに
まんべんなく言葉が届くように
それを目指すべきだったのに
一度も本気で願えたことがない
 
教育実習で叱られてばかりいた
生徒から目をそらす窓の外は葉
あてた生徒ひとりだけと話すな
教員なんかになりたくなかった
 
お望み通りの不採用で
たまたま拾われた仕事は秘書で
ひとりのことを中心に考えられて
がんばれはしたががんばりすぎて
 
そういえば学生時代は
現国の自由短文でよく選ばれた
社内報の原稿なんかも頼まれた
書くのは日常で苦にならなかった
 
それで修行の真似事をしたが
直されると飽きて見るのもいやだ
言葉を曲げられてまで自分には
訴えたいことがないらしかった
 
きっと自分が読む用に一生書き
多分誰にも見せずとも構わない
気付かずあちこち迂闊な勘違い
出す癖は治らず元には戻れない
 
さすがにさみしく、途中からは
言いたいひとりを決めて書いた
あてもなくいい顔は出来ないな
ミットはひとつと思えばいいや
 
実はこっちの方が厄介でもあり
会心の手応えを一度も感じない
つまらなくない?とんでもない
寝ても覚めても話して壊れたい