Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

今のは誰の話

もう、しつっこいわね
何度もおんなじこと言って
言わせてんのはお前だよお前
頼むから事実だけ言ってくれ
 
ひとつ隣のベンチでは
女の子が赤い靴をぶらぶら
こら、お行儀よくしてな
あのひとおこってんのかな?
 
ひとを指さすもんじゃないよ
おとなだって怒る時は怒るの
しってるよ おとうさんも
俺のは違うよ 叱ってんの
 
どうちがうの、に割って入る
着信音に二人は口をつぐむ
しばしあって男の声がする
嘘のように上機嫌な調子
 
お世話になってますどうも
え?全っ然構わないですよォ
今ですか?ひとりですけど…
ねえねえどうしたのあのひと
 
下品だぞ、盗み聞きってのは
だってあのひとがヘンだから
心配だろ?喧嘩の話なんてさ
じゃあ、あのおねえさんは?
 
そっぽを向きイヤホンの耳
男は背を向けてのびのび笑い
通話を終えて深く溜息をつき
ったくしつこいな、話長えし
 
なんだよ、何笑ってんだよ
…え?ああ、話終わったの?
あなたを笑ってやしないわよ
女の子の???と父親の横顔