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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

いえといえ

「ねえ、最近どしたの?」

「…」
「ほら、また。あたし、なんかした?」
「…別に」
「だったら、いっつも何そっぽ向いてんのよ」
「いけないのかよ」
「いけなくはないけど、その…」

口ごもって、夏服のリボンをいじっていると
「お前が悪いとかじゃねーよ」
「そうなの?」
「おれの親、離婚するらしい」
「え……」
肩にかけたスポーツバッグがガクッと外れる

「おれもどうすんのか知らねーんだけど。お前んち
はさ、なあんかバッカみてーに仲いいから」
「ど、どこが」
「母さんが弁当作らせないとか、父さんがカメラ
向けてくんのめんどくさいとか言ってんじゃん」
「なんでそれで仲がいいってなるのよ」
「わかんねーと思った。だからヤなんだよおれ」

しばらく黙って、思い切って話す
最近産まれた年の離れた弟がいるんだけど
なんか、生まれつき病気らしいんだよね
ショウガイっていうのかよくわかんないけど
それで母さんも死にたいとか泣くし大変
あたしはどうでもいいのか?とも思ったし
でもお腹に戻すわけにいかないんだから
やるしかないじゃんって開き直ったわけ

今度は相手がびっくりして黙ったが、やっと
「お前、そんな話なんでおれに?」
「じゃ、そっちはなんであたしに?」

別れ道で走り出すとカンナがはっとするほど赤く
泣きたいのに飛び跳ねてみたくなる変な高まりで
「じゃあまた明日な」をバッグごと抱き締める