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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

無花果

 

片田舎の坂の上のボロ家で
カップヌードルをすすりながらあたしはひとり
あぐらをかいて家具調テレビを観ている

テレビも家も死んだばあちゃんので
実家から逃げて捕まったあたしはひとり
お金もなくて元空き家でただ住んでいる

アンテナは三本毛が生えたようなので
父さんがどっかから買ってきてつけてくれた
処分せずにいた家具も好きに使えばいい
古いけど冷蔵庫もレンジもコンロもあるし
ガスも電気も灯油も頼んでおいてやる
土曜にまた来るから

ああみっともないカッコ悪いったらない
いっそ見つかった時にマシンガンでダダダ
撃たれてぶっ倒れてひと思いに死んじゃえば
あたしをそそのかした死ね死ねの声のヤツらも
拍手のひとつくらいしたんじゃない?

悔しくて泣いたらティッシュがなくて
引き出しを開けたら色あせたノート
見たことないけど、多分ばあちゃんの字

「お父さんがゐてくれたらと思ふ」
「敏ちやんが臨月、手伝ひに行かうと思ふ」

お父さんは先に死んだじいちゃんのことらしく
敏ちゃんはうちの母さんの名だ
じいちゃんとは死ぬまでケンカばっかで
母さんとも嫁姑こじらせて一人暮らしだっけ

ああもう死ぬほど生きていたくないんだけど
ばあちゃんが来るなって言うから今日は寝る

遠くで嗤われているっぽい気配を無視して
黙って薬をシートから出すプチプチの音