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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

顰蹙の閾値

 

久しぶりに立ち寄った書店で
新刊単行本の装丁を表裏と見て
ぱらぱらと開いてあたりを見回し
そっと棚に戻すいつもの繰り返し
 
駆け足で読み回る雑誌コーナー
毎月買えるといいんだけどなかなか
黒い前掛けのいらっしゃいませえ
首をすくめながら文庫コーナーへ
 
ちくま角川ハヤカワの棚越し
ぷいっぷいっぷいっぷいっ
どっかで聴いたことある音だな
ええと、なんだっけかな
 
そのうち聴こえるぐずり泣き
おがあしゃーん、ヴッウエエ
声はすれども姿は見えずで
ぷいっぷいっぷいっぷいっ
 
ああ、つっかけの子ども靴だ
土踏まずだか踵だかのところに
笛が入っているんだっけな
最近とんと見なくて懐かしい
 
うるさがるひともいるんだろうが
声をかけてもいけないんだろうな
外から聴こえる改造クラクション
地図コーナーで切れない着信音
 
ぷいぷいのめそめそは遠ざかり
こらっ、どこ行ってたのが抱きとめる
母親は身を縮めつつ誰にともなく謝り
靴を脱がせ抱き上げて出て行く
 
私は斜めがけのずっしりを担ぎ直し
スニーカーでずんずんとレジに向かい
セールを待つカレンダーと手帳を横目に
新書一冊文庫本一冊しおりも頂戴