Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

ハロゲン

 

渡された手紙は解読班に任せたい
恐らくはゲーム機だと思うけれど
最近は種類もたんとあるのだし
フィンランドから来るオジイサンにも
きっとわかんないと思うんだよ
 
洗って縮んだセーターを引っ張り
上着のボタンをびっちり留めて
俺は電器店にのそのそと入り
ネルシャツ半纏の眼鏡を捕まえ
 
「男の子にプレゼントなんだけど」
「あ、お子さんのクリスマスっすね」
「…多分、これだと思うんだけど、
どうかね、これ最近よく出てるの?」
「そうすね、これもやっと再入荷で
先週まで予約限定だったんで…」
 
これを持ち歩くのかと不安になる
派手な包装紙と大仰なリボンは
茶色の紙袋にひっそり納まる
「らっしゃっせー、あーがとやんした」
 
袋を前に抱いて電車を二つ乗り継ぎ
チャイムを押すと出てくるスッピン姉貴
「悪いわね、忙しくて、うちの旦那」
サラリーマンより暇そうに見えるか?
と言いたくなるが言わない
 
「いくらだった?あ、お釣りあげる。
アンタも彼女と食事でもなさいよ」
「…遠慮なく、そうさせてもらうよ」
「上がってお茶でも飲んでく?」
「結構!」
 
サンタはみんなのサンタだからな
博愛ってのもままならねえやな
ねぎまの火傷に麦焼酎に
照り返しのカウンターは広々と独り