Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

ごめんください

帰りかけたら奥の方で電気が点いて
はあい、いらっしゃいませえ
あっ…よろしい、んですかね?
どうぞどうぞ、お二人様ですね
 
腰が曲がってよっこらよっこら
卓上のおしながきは黄八丈の格子柄
節くれだったちっちゃい手でお茶
分厚い湯のみ  あ、見て見て、茶柱
 
なんかいいことありそうだなあ
珍しいわね、そんなことも言うんだ
いや、ま、迷信は別にあれだけどさ
どうも、お待たせ致しました
 
いただきまあす
いただきます パチンと箸を割る
おいしい  なんていうかホッとする
なんだろうな  昔食べた味がする
 
あっという間に食べ終わって
視界の隅っこに映る小体な店の壁
生ビールのポスターは色褪せて
手書きの営業時間はヨレヨレ
 
…あれっ、今何時だ?
どしたの?…三時十分過ぎかな
急須を持って来た便に呼び止めた
ここ、二時半までじゃないですか
 
はい、さようでございますよ
過ぎてましたよね、僕ら来たの
お待たせしてしまって、どうも
いえ、そうじゃなくてその…
 
構いませんのです、とはにかみ
お茶をこぽこぽ注いで下がって行き
僕らはご馳走様を都合三度ばかし
外で神社の緑を眺め深呼吸で伸び