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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

エスケープの選択

 

角を曲がるとどことなく違和感がある
家に近付いてやっと気付く
あれ、うちの電気が点いてない
なにやってんだあいつ、こんな時間に…
 
書き置きなども見当たらない
ここんとこ忙しくて構ってやれないし
不満などありっこないとは言い切れない
早とちりで事を荒立てるのもなんだし…
 
留守番電話とメールの確認を終えて
電話に出ないのも五回念押しして
懐中電灯を持って一旦外へ出たら
頬にぽつり、戻り二本引っこ抜く傘
 
正直言うと腹が立ったし腹も減ったが
呑気に飯を食っている場合でもなさそうだ
脇に挟んだじっとりで打ち捨てたい傘
言いたいことがあるなら言えってんだ
 
赤ちゃんの泣き声のコーポの脇を抜ける
小学校の校舎と雨粒がぼんやり浮かぶ
普段はぴっちりの校門が軽く開いている
変質者かよ…きょろきょろと中へ入る
 
滑り台も随分派手な色になってんだな
俺の頃はそうだな、土っくれの山
それに土管でトンネル通したようなのが
…あ、あった
 
身をかがめて照らすと振り向く顔
…お前、こんなとこで何やってんだよ?
びっくりした、おどかさないでよ
そりゃこっちの台詞だろ
 
散歩してたら門開いててつい懐かしくて
こういう狭いところって落ち着くわよね
お前は猫か…とりあえず飯、話は後
牛丼でいいな また? 文句も後、後
 
傘をさしかけてやりながら
まあ俺でもこの中なら土管に入るかな
そういうとこで一緒になったんだっけか
砂を払う手と斜めに俯いた顔を眺めた