Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

電報電話局前

 

便りのないのはよい便り
便りのないのはよい便り
 
ぶつぶつ唱えて人参に串
大きく切ったらまだかたい
遠のく換気扇の音とぐつぐつ
廊下の黒電話はひんやり眠る
 
大学が冬休みに入ってすぐ
年末鈍行旅行で下宿を空ける
帰れたら帰る、とだけ書いた
そっけない葉書を寄越した
 
「年末」は
「鈍行旅行」のみ修飾するか
「帰る」にもかかるのか謎だ
何度か三人分の支度をしては
同居の娘と二人で平らげた
 
結局松が明けても音沙汰なく
年賀状も久々に当たりがなく
日々あてずっぽう好物ごしらえ
ごちそうさま、と洗い物の娘
 
彼がまだ家にいる頃は
食うて来たメシいらんの一言で
部屋まで追いかけて怒ったっけ
若かったのか年を取ったのか
 
チン、で聴きつけて廊下へ
おふくろ?金足りひん、泊めて
うちは他所様のお宿とちゃうで
宿やったらちゃっと予約せな
晩御飯ポトフしかないやんか
 
おっ上等上等、20分で着くわ
発信音に鼻で笑って胸を張る