Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

中二の昼

コンビニのくじで当たった
缶のハイボールをグラスに注いだ
残念だけどもう飲めはしないんだ
でもちょっと祝杯をあげたい気分だ
 
足踏みの業務用ミシンの調べ
肩を寄せ合う真ん中にラジカセ
テーマ曲はYMOテクノポリス
録再ボタンせーのの同時押しで
 
かっこいい音楽に乗せて話す
ただそれだけで浮かれて朦朧
ひと通り話して何秒か口をつぐむ
カッチッ、テープの回転が止まる
 
聴こう聴こうと盛り上がったあとの
放送部の友達の人懐こく弾む声と
畳の上のターンテーブル
NIAGARA CM SPECIALよ
 
梁にとまる文鳥の桃色と丸い目が
首を傾げて見下ろしていた
微熱を持て余す中学生の私達が
次の三叉路で不意に離れていった
 
あれやこれやの四半世紀
うっかり作ったアカウントを契機に
繋がりが戻ることもあるネットの海
積み残しの鬱屈やっと知る誤解
 
友達は家族と穏やかに笑っていて
あの頃の夢をずうっと温めていて
そろそろ卵をコツコツ叩く音がして
それを根気強く見守っている目
 
あの日自分の声にがっかりしたな
そしてラジオが好きになった
あの日の巻き戻し音を聴きながら
朦朧と届くのを待っている電波