Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

キャベツと鱗粉

あおむしを捕まえて
緑色のフタ付きの飼育ケースで
飽きもせず眺めていた夕暮れ
かわいいよねえ まあねえ…
 
キャベツの一番外側の葉
熱心に世話をしていたら
ある時を境に動きが鈍くなった
しんじゃうのかな んー、どうかなあ
 
学校から帰ったらちょっと違う色
あっあれだ、コオロギといっしょの…
脱皮をする度ケロリとしていたけれど
たべてない そろそろあれじゃないの
 
庭のさざんかの枝を折って入れる
今日読んだ、これはサナギってやつ
手持ち無沙汰で何日か待つ
でてきた! おー、蝶になってる
 
ずっとそこにいた同じ飼育ケース
白は慣れない風にぎこちなく動く
私は見つけた畑のことをまくしたてる
うそみたい で、週末晴れたら出す?
 
だす、って? そりゃもう大人だから
にがすってこと?やだ! どうした?
ずっとかうもん またそんなワガママ
さとうみず! 言い出したらきかんな
 
窮屈そうに飛び回る白にご満悦
何日かして家に帰ってあ、と叫ぶ
砂糖水の皿に白が横倒しに浮かぶ
つまむと牡蠣殻の裏みたいにぎらつく
 
意外ともうそれ以上は叱られなくて
オシロイバナのとこに埋めなさいね
死んで初めて直に触れたその羽根
理科のドリルは満点 伏し目のまつげ