Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

盆と正月

目玉の端っこに銘々皿の上用饅頭
麦茶の氷に穴っぽこ 器は汗をかく
腰を浮かせ位牌を見つめしくじる戒名
坊主は袈裟着て神妙な面構えの説教
 
誰が帰ってくるってのかねえ?
まるで正月みたく妙にいそいそして
あっちこっちで花火なんぞ打ち上げて
なんだか随分楽しそうじゃないかね
 
そりゃあそうさ
普段はこの世にいるもんが大事だ
でもたまにゃ話したくもなるんだな
言い忘れだとか思いついたことをさ
 
死んだあいつがいてくれりゃってなぁ
再々言われちゃ滅入っちまうけどな
本音言やあ毎日だって言いてえもんだ
代わりなんぞそうそういやしねえしな
 
盆だ彼岸だって言やあ大手振って
そっち向いてられんだ それはそれ
この世にゃ義理も人情もあるってんで
ちとしょげてみせるのさ そう思うね
 
幽霊が怖いなんざ、俺ァわかんねえな
元が人間じゃねえならこしらえもんだ
万一人間なら俺に話があるってこった
はるばる来るんなら会ってもみてえや
 
まああの世だろうがこの世だろうが
そうまで根詰める相手がいるってなぁ
一種おっかねえ患いかも知れねえやな
生身の人間にしちまうと物騒だからな
 
呪われるよな相手が化けて出るなんぞ
信じるような輩は身に覚えがあんだよ
あちらさんだって無駄足は御免だろ
ああ足はねえんだっけな応挙によると