Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

びわ待ち

彼女は果物や野菜を食べて
その種を大事に取っておいて
頃合いを見て庭で育てていた
ちゃんと分けて置いてあるから
試すのはいくらでも試せるんだ
最初にその話を聞いた時は
妙に牧歌的で笑ってしまった
 
今は何だっけ?
びわは十年かかるらしいんだよね
へえ、桃栗三年柿八年の次?
そうそう、で、もう十年になるのに
何故か実がならないんだよね
雄株雌株とかじゃなくて?
関係ないみたい、なんでだろうね
あ、あと山椒は近所から飛んできて
そろそろ実が採れそうで楽しみだね
おー山椒いいよねえ、鰻とか?
いや、ウチは麻婆豆腐かな
 
しばらく麻婆豆腐談義をしつつ
店の整えた丁寧な夕餉を楽しむ
 
ああそうそう、紫蘇も採れるよ
いいね、それって蒔いたの?
うん、配ってた種もらってさ
最初プランターに蒔いたら
全然うまく育たなかったから
うりゃーってぶちまけて放置
そっちの方がよかったみたい
 
アイスカプチーノと黒いストロー
ああ、なんだっけこの
あてもなく待つ懐かしい希望
それぞれ思うに任せぬ成長
それでも同じ土に生きている