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Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

抜粋クローン

よし、なんとかなりそうだ
緑色に光る言語がディスプレイに流れた
振り返ると荒れた唇をぽわっと開く妻
ねえ、本気なの?怖いわ
 
そんな顔するなよ、僕だって怖いけど
このまま何も出来ないなんていやだよ
今の医学で君の病気は治せないけど
せめて今までの君のデータだけでも…
 
そのデータが、あたしがいなくなって
あたしの代わりに考えてあたしの声で
晩御飯は家で食べる?って訊くのね
あたしは作ってあげられないのにね
 
そういうことを言うんじゃないよ
科学は進歩する、そのうちからだも…
その時に中身がなかったら困るだろ
何年経ってでも追いついてみせるよ
 
ありがとう、でも怒らないで聴いて
あなたがずっとそれを作っている間ね
そっちに取られちゃった気がしてさみしくて
あたしはそこにはいない、こっちよって
 
わかってるよ、そんな…
あなたがあたしの過去とだけ生きるなら
ここにいるあたしは一体なんなのかしら
あたしのからだはボール箱じゃないわ
 
そんな風に感じてたなら何故言わない?
ずっと何か考えてて上の空だったじゃない
言えっこないわ、迷惑だってかけてるのに
じゃあ…じゃあ、僕はどうすればいい
 
最後まで鈍いわね、あなたらしいけど
今はもうね、ぎゅっとしてくれればいいの
あたしを忘れたとしても知りようがないもの
ずんと沈む胸の重みでふらりと寄せる頬