Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

こもごもの野辺

あんまり準備がいいのも
なんだかどうもいやなんだと
子どもっぽいことを言う母も
葬儀屋に問い合わせる午後
 
百貨店とスーパーの間
本格的過ぎない婦人服売り場
似合うというのも変な感じだ
店員も気の毒そうに見送った
 
ちゃんと出番がやって来て
喪主の母は気丈に挨拶をして
口の悪い親戚が褒めた後で
手違いで届かない折り詰め
 
深山公園は花盛り花盛り
遺影を抱えてハイヤーに乗り
どんちゃんを横目に通り過ぎ
待合のパイプ椅子はひんやり
 
今日はよく晴れてよかったな
よかったってのも変だけどさ
ちょうどいい天気ってやつは
祝儀も不祝儀もないもんだ
 
その礼服で四回お通夜葬式
ひとの結婚式も同じくらい
夏はカーディガンを羽織り
明るい水色にコサージュに
 
お通夜で道に迷って苦笑した
結婚式の無茶振りで歌った
坊主の袈裟のポクポクの手が
ぼんてんで何度も虻を払った
 
今日はかなしいかうれしいか
泣きはらした喪服のおとな
卒園式の花束が見上げたら
やあおめでとう しっかりな