Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

気弱さの比較級

このペンじゃないと
どうもしっくり来ないんだよ
あれこれ迷ったフリをしても
今度も同じツバメノート
 
パソコンってやつも意外に
そういうとこがあるらしい
イメージはもっと無機的
理屈では動けばなんでもいい
 
三年ちょっと前まで
違うの使ってたはずだよね
最初はしっくり来なくて
まあ動作は速いかなって
 
それが壊れちゃってさ
とは言えキーボードだから
何日かで直るらしいんだ
まあ結構なお値段だけどさ
 
落ち着かないもんだねえ
こんなちっぽけなことで
日常の乱され方を知って
重いつらさの隅っこに触れ
 
こんなことで弱音吐いてる
場合じゃないってつい思う
その癖そんな風に強く清く
正しい心に責められもする
 
戦争の話なんて聴くとさ
焼夷弾から逃げるのに下駄
ズックにすりゃよかったわ
え、そこ?でもそうなんだ
 
一大事の時も些細なことを
悩んでクヨクヨしてようよ
楽しめることを楽しもうよ
あしたにようよう灯る過去

頼まれたおぼえ

久しぶりに会う友達より
自分が決めたルールが大事
そんなつもりは毛頭ない
だけどなんだか遅れ気味
 
なんのために無理すんだ?
誰がそんなこと頼んだ?
するなとまでは言わないが
いやならやめりゃいいんだ
 
君が何かを書かなくたって
あなたが走らなくったって
僕の体重が減らなくたって
誰も困ってやしないからね
 
待ってるひとがいるんだと
思ってないとつらいだろ?
きっとみんな同じなんだよ
怖いからえらぶってんの
 
ないがしろにされながら
ないがしろにするもんさ
お互い様だし気にするな?
まあそうもいかないよな
 
したくてしてることなら
相手なんていらないんだ
してやってると思うなら
ありがた迷惑が頃合いだ
 
物欲しそうに見せることは
なんでも後回しでいいのさ
ひとの我慢で出来た体面が
いつ僕を幸せにするんだ?
 
自尊心って自分じゃなく
ひとに守られるものだろう
だから僕はそのひとになる
頼まれもしない我を忘れる

片目をつぶれ

寝ていたら目を蹴られて
もんどり打つ いってええ
ごめん 足が上がらんで
寝起きの母は申し訳なさげ
 
冬眠の熊でもなかろうけど
眠くて眠くてたまらないよ
別にいいことがなくても
びっくりもしない歳だけど
 
片目で検索 目の打撲
うんざりで冷えピタを貼る
機嫌よく機嫌よく機嫌よく
おまじないも今はおねむ
 
よく変わろうとはしない
この先やりたいこともない
文句はたっぷり三人前あり
トイレで目覚める朝の四時
 
姥捨て山だってあったんだ
つらいなら捨てちまえば?
お前の人生なんだからさ
悔いなく自由に生きなきゃ
 
そう言われたら困るよな
同じこと言ってやしないか
義理も人情も捨てろってか
他人事だからさ馬鹿言うな
 
世の中には自分が大事で
殺める馬鹿もいるわけで
さすがにそれは許さねえ
こっちが滅びたくなるね
 
真剣な眼差しの竹光木刀
ほんとうなんて結局物騒
いい顔すりゃ丸く収まる
そのまま続けてな 一生

いい子といいこと

みてみて、おとうさん!
おわっ、おお、…うん?
ほらほらこれ、ポケモン
あ、来てたのかサンタさん
 
いい子にしてたからだな
おてがみとどいてたんだあ
すごいねぇ、よめるのかな
続けてると出来るもんさ
 
へええ、そうなんだ
おとうさんとこにはきた?
え?いや
おとなにはあんま来ねえな
 
えー、だったらおとなやだ
ぼくこのままでいたいなあ
お前はわかってねえなあ
もっといいことあんだから
 
もっといいことってなに?
自分でどこにでも行けるし
働いて好きなもの買えるし
でもいそがしいじゃない
 
うーん、まあそうだけど
サンタさんだってそうだぞ
配り回って忙しそうだろ?
うん、つかれちゃうよ
 
疲れるけど楽しいんだよ
よろこぶ子がいてくれると
ねてたらかえっちゃうよ?
後でちゃーんとわかるの
 
よしよしと頭をなでて
今日は俺がゴミ捨て当番で
腹減った、明太子食いてえ
何やら炒める匂いと二度寝

褒め殺しの生還

綺麗事を言ってみるけど
まあ付き合ってくれよ
いつもやさぐれてんのも
マンネリで食べ飽きるだろ
 
年々世間ずれしていく
アラ探しがうまいだろう?
なっちゃいねえと嘲笑する
頭がよくなった気がする
 
そういうのってもう古い
いいとか悪いとかじゃない
疲れるしつまんなくない?
聴いても落ち込むばっかり
 
嫌なこと見て文句言うなら
好きなことを倍褒めたら?
褒める方がむずかしいんだ
タイミングだってあるしさ
 
アラ探しをするしつこさを
いいとこ探しに使うんだよ
悪口はコソコソ隠れるけど
褒め言葉は直接渡せるもの
 
褒め言葉に見えるものにも
おべんちゃらに惰性に下心
自画自賛の異形があるけど
そいつはうっちゃっとけよ
 
今伝えなきゃ空振りだから
かっこつけた喩えも余計だ
まあありきたりのことしか
言えなくて往生するもんさ
 
欠点を見抜く鋭さがあれば
裏っ返しもやり手なはずさ
そろそろ出番じゃないか?
こっちにも言霊くれないか

零点合わせ

私の基準だとそうだねえ
先日父の運転で出かけて
途中からは各々別行動で
私は映画、父が自炊班ね
 
ひとりで出かけただの
映画に行ってないだと嘘
家庭円満で仲良く料理も
一緒に映画観たんだも嘘
 
本筋に関係ないところを
言わない省略はありかも
誰の運転で出かけたかも
途中でいなくなった件も
 
映画さえほんとうならば
尾ひれはサメでもいいか?
幸せ自慢がしたいのかな
おもしろくしたいのかな
 
そう言った方が得かもと
思ったことは確かにあるよ
損までして笑わせるよりも
身内ごと褒められたいもの
 
でももうそういうのはいい
嘘ならなんだって出来るし
制約がないのはつまんない
嘘に頼るならバレるように
 
おもしろくしようったって
最後は受け手の勝手だしね
毎度目分量の辻褄合わせ
嘘より憶えたい話もあって
 
事実は小説よりも奇なり
これ事実は退屈って意味?
創作は現実に追いつきたい
そういう夢なんじゃない?

時差式の昨日

文字盤を見慣れない
デジタルの活動量計
眠い目にぼんやり青い
“ 10:00 "に飛び起き
 
嘘っ、寝過ごした?
メール送ったっけな?
朝ごはんどうしたかな
うわあ、しまったあ
 
…ふと見やる窓の外は
とっぷり暮れて静かだ
蛍光灯もついているな
お堅いニュースの音だ
 
朝は起きたんだと思う
ご飯も食べたんだろう
ラジオも聴いたはず
薬も確か飲んだはず
 
今日は仕事がないから
仮眠取ってたんだった
あー、びっくりした
一瞬血の気が引いたわ
 
ラジオは聴けていたので
ひとまずふうと安心して
あんたいつまで寝よんで
母の小言は聴き流して
 
ひとり遅れた夕食を
チンしてお湯を沸かす時も
イヤホンは録音のラジオ
シェルターはここにあるよ
 
どんな夢見てたの?さあ…
見ないのか見ないふりか
嘘もほんともまた明日