Okay, bad joke.

詩のドラフト倉庫

病めるワレモノ

冴えない眼鏡のおじさんは
世を忍ぶ仮の姿なのだ
誰もが目を輝かせ空に叫ぶのさ
鳥だ、飛行機だ、スーパーマン
 
一方その頃世界の片隅では
裏も表もくすんだデクノボーが
錠剤を2の4の6つ飲んで眠るのだ
留守番なら犬の方がうんとましさ
 
まともに生きてもいないのに
何か出来るとでも思うのかい
思い上がっていやしないかい?
鏡を見ろよ ねぼけ面の穀潰し
 
最初の頃、医者に釘をさされたよ
こういうひとは油断してると
ボランティアとか言い出しますよ
今は水没の街の病院勤務のひと
 
働いて無理していい気になって
頼りにされていると思い込んで
下駄脱いで裸足でオロオロして
経済も体調管理も最背面に見え
 
丈夫で五体満足なひとだけに
人助けの鍵が届くわけじゃない
でもイチかバチかのサイコロに
振り回される苦しみは選ぶまい
 
他のことだってそうなんだろ?
どうにかなる気がしたことも
三次元ではペナペナなんだよ
お前なんかつとまりっこないよ
 
健やかな幸せなんてものに
白旗を出して楽になるといい
何をしなくてももうおしまい
かばって形代にもなれない癖に

音漏れを聴く風

つらいのは君だけじゃない
世間のお説教には鬱屈ばかり
あなたに言われる筋合いないし
私のこと何も知らない癖に
 
雨になると聴いていたが
台風の風だけが残っていた
家で聴くと不安なその音は
体で浴びると心地よいのだ
 
津々浦々ベッカンコ
遠い地方都市のコンサート
ステージの上の笑顔と声と
どっとわく拍手を包む風の音
 
先日古い仲間の訃報が…
ポツポツと話されまた歌う
その朝偶然思い出す別の仲間
皆と離れて歌った若い風の歌
 
風はあのひとかもしれない
元気でやっているかい?
随分腕を上げたねえ前より
七色に晴れる前は暗い気持ち
 
つらいのは私だけじゃない
ひとにうるさく言われる前に
急に気付かされてぼんやり
さみしい層を磨いて届く光
 
この拍手のひとつひとつが
慰めかねる日々を歩いてきた
そのかなしみに寄り添う歌
それを歌うひとの胸にも涙
 
そのつらさを知っている
だからつながろうとする
恵まれた余り物は忘れる
欠けた心だけが共鳴を灯す

I’m good, thank you.

かっこよく負けて散るのと
泥臭い手で勝ち抜けるのと
さあどっちが楽なんだろ?
そりゃ綺麗に決めたいけど
 
負けたら負けたで凹むよね
あいつのせいと言い合って
くさして天を仰いでやけ酒
日々の生活に散りゆく誰彼
 
どちらともなくブーイング
観たがるのはアグレッシブ
柔道で言うなら教育的指導
絵にならない時差で決まる
 
ただ褒められたいだけなら
恰好つけ走ってカウンター
次やってもいいかどうかは
結果でしか決まらないから
 
最初に出る言葉は不本意
わかってやっている戦い
劇的なのもっとちょうだい
パッとしない僕らの人生に
 
ほっとけ ほっとけ
その場しのぎの快楽なんて
地味に見えてもフェアプレー
ファインセーブ 騒ぐ言い訳
 
遠くから俯瞰で観れば
責められるってこうだった
朝三暮四ってなんだっけな
順序が逆ならば足るか?
 
持ち上げられて落とされろ
きっと明日は いいトモロー
そうやって生きていくんだよ
図太く笑って続ける覚悟

堅物と迷い犬

落ちていた財布は交番へ
きっと困るだろうからね
基本の設定資料は真面目
悪く言うならカッコつけ
 
確かにおもしろくはない
責められるいわれもない
魚のすみかねるとも言い
疎まし清き川恋しき濁り
 
ある夜 疲れて帰ったら
家の前に何かいたんだ
茶色くてくっちゃくちゃ
割と大きいけむくじゃら
 
足が震えるへっぴり腰
お腹のあたりが浮き沈み
よかった生きてるみたい
でも どうすりゃいい?
 
傍らにしゃがんでいたら
薄く目を開けて笑った
犬笑わないはずだけどな
おすわりで尻尾を振った
 
こういう顔好きだけど
飼うってなると大変だよ
独身だし 散歩もあるし
ご近所もだし毛もつくし
 
そもそもこいつ野良かな
首輪はしてないみたいだ
でも首輪が抜けて逃げた
なんて話もたまに聴くな
 
なあお前 ご主人様は?
頭を擦り付け手を舐めた
いいやつだな いいのか?
返事は願いごとの熱転写

クロスワードかるた

綴紐がほどけてしまった本を
丹念に拾い集め順に並べると
落丁乱丁虫食い越しの筆あと
七並べなら「誰が止めてるの」
 
未来の希望の話かもしれない
上を下へのどんでん返し
何か読み忘れてやしない?
目がかすむ契約書の但し書き
 
基本の基本の基本の設定が
何度でも初期化されるから
〜ぼんさんがへをこいた〜
〜だるまさんがころんだ〜
 
わーっと一斉に逃げ出して
隠れたり知らん顔したりして
じゃあまた明日にでもね
ご名算 ご破算に願いまして
 
キリがないなんてことは
この世にはない道理なんでさ
だから このままでも まあ
一概に悪いとも言えないよな
 
長い遊びに飽きないように
千切ったページを隠したり
ハートの列だけ止めてみたり
しているのならそれでもいい
 
わけがわからないとまでは
言えないのがほんとのとこか
白か黒かで言えない段階なら
合わせるのが次善ってだけさ
 
お作法のいいクイズの場合は
正解に「へぇ!」「はあ?」
どっちだっけな忘れちゃった
一個目のヒントもう言った?

おあまりの餌

笑えなくて涙が出る時だって
まあなんとかなるんだよね
僕にはいい頓服があるからね
飲むととかくだるくて眠くて
 
シートから外した瓶の中の薬
毎回ざあっと手のひらに出し
ちょっと安心して大方瓶に戻し
その中の一粒だけつまみ出し
 
こんなちっちゃくて丸いのが
どう働いてるのか知らないが
ぼんやり起きた時の母の言葉は
「えらい苦しそうに寝よった」
 
保身なのか幸せ自慢なのか
その方が伝わると思う慢心か
他の意図が隠されているのか
そんなの知ったこっちゃないや
 
誰のための話か知らないが
君が僕ならそれを聴きたいか
僕はもう一生分我慢したから
その手の話には乗らないんだ
 
君を操る横暴もありえないよ
そんなことはわかってるよ
なんとかするしかないんだろ
究極は僕だけ死ねば済むこと
 
こうやって僕の中の僕の芽は
ひとつずつ踏まれていくから
馬鹿な妄想もいずれ枯れるさ
今までもずっとそうだった
 
書いてあるだろそうさ冗談さ
こうやって都度切り離せれば
僕本体は生き延びるんだから
君も同じならしかたないよな

信じない様

大仰な話はなんか胡散臭い
そりゃ信じるのは勝手だし
わざわざとめだてはしない
それぞれ崇める神はいていい
 
信じない自由もあるはず
もっとこう手で触れられる
具体的な何かが欲しくなる
それはそれで人の情だろう
 
うーん、例えばそうねえ
愛そのものには触れないよね
言葉にしたことあったっけ?
じゃあ愛はないのかな、って
 
欧米人じゃないんだし
愛だなんだ言う方が怪しい
言葉にしないことの中に
含まれてるもんじゃない?
 
さみしいのがイヤだとか
ゴミ捨てめんどくせえとか
おっぱい触ってたいとか
そういうのと一緒なんだ
 
ちが…うとも言えないけど
そりゃそれだけじゃないよ
そんな俗っぽい欲よりも
もっとこう神聖なものだろ
 
ほら、出てきたじゃない神
信じないを守り通すうちに
信じない様を信じてない?
内角来い!は誰への祈り?
 
もうわかんねえよそんなの
ゴミじゃねえし分けねえよ
言わなくてもわかるだろ
誰に?何を?のとぼけた顔